月別アーカイブ: 2020年10月

誰もいない実家をそのままにしていませんか?

ニュースで目にする「空き家問題」とは?

今や社会問題とされている空き家ですが、空き家自体は昔からしばしば目にするものであり、特に珍しいものでもありません。

具体的にどのような問題があるのか?

空き家の危険性を理解し、空き家トラブルの当事者とならないように備えましょう。

現状過去最高の空き家率

空き家の推移
空き家の割合は年々増えている状況で、総務省の平成31年住宅・土地統計調査によると、空き家率は13.6%と過去最高となっています。

これは昭和38年から常に増加し続けている状況です。13.6%とは、戸数にすると848万9千戸で、数にするとかなり多いことがわかります。(総務省公式HPより)

空き家の原因
なぜ、空き家が年々増加しているのか?

1.高齢者が転居し住む人がいなくなった

一般的な原因の1つは、自宅を所有している高齢者が老人ホームなどの高齢者住宅や自分の子供の家へ転居することです。

高齢化が進んでいるため、今後さらに空き家が増えていくと予想されます。

しかも、高齢者の転居は別の地域への転居が多いため、その地域の活力低下や道路や水道、電気などのインフラ維持も難しくなると言われています。

住む人が減れば、その地域のスーパーや銀行、病院などの生活に必要な施設が減っていくという悪循環が進んでしまいます。

2.建物を壊し更地にすると費用が掛かるため、放置している

もう1つの原因は、空き家をそのまま放置してしまうことです。

前述の高齢者の転居ですが、高齢者が亡くなった場合など、空き家が相続対象になり相続した人が、何もせずにそのまま放置してしまいます。

相続した家を放置する理由としては、家が遠すぎる、思い出がいっぱい詰まっているなどがあります。

また、相続に関係なく自分の所有している空き家をそのまま放置している場合もあります。

物置として使用するから
解体費用がもったいないから
更地だと固定資産税が上がるから
特に困っていない
将来使うかもしれないから  などの理由が多く上がっています。

3.新築戸建てやマンションの供給過多

現代の日本では核家族化が進み、それぞれの家族が家を持つ時代となっています。

そのため、新しくできた若い家族向けの新築戸建て物件や、マンションが次々と売り出され、戸建て・マンション市場は供給過多状態に。

2020年に入り、新築戸建てや新築マンションの販売数は減っているものの、総務省の発表した「平成 30 年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計」データでは日本の一世帯の持ち家率は1.16件。

家を持て余してしまう時代は、すでに来ています。

空き家を放置することのリスク
1.外壁が崩れたなどの場合の工作物責任の問題

人が暮らしていない住まいは一般的に老朽化しやすいといわれています。

民法第717条には、工作物責任というものが規定されています。これは、空き家の所有者が空き家を適正に管理することを怠り、それによって他人に損害を生じさせてしまった場合の責任です。
この規定があることにより、空き家の所有者は、空き家を放置しておくことそれ自体にリスクがあると言えます。

また、空き家により大切な命が奪われる事故も起こっています。

外壁材等落下のケース・・・登校中の小学生に外壁材が落下し死亡

2.竹木、雑草、火災などによる近隣への被害

空き家所有者が空き家を放置したことにより何らかの事態によって火災が発生して近隣へ延焼した場合には、火災保険の適用がされず想定外の責任を負わなければならない可能性があります。

放置された住まいでは植栽の手入れがされず、雑草などの繁殖で、周囲の街並景観を乱す恐れがあります。

害虫の巣にもなるため、スズメバチ、野良猫、ネズミなどの繁殖を助長させることも。

また、空き家近隣住民の方からの苦情で多いものが、竹木や雑草の繁茂による越境や不衛生です。

3.不動産価値の低下、売却の可能性の低下

空き家を放置することで建物は劣化し、土地は荒れ、不動産の価値は低下していきます。

放置空き家が散在する地区は、地価の下落につながります。

そして、そのような不動産を売却しようとしても、買い手がつきにくくなってしまいます。

更地にすることで、固定資産税が上がることを懸念する声もありますが、

空き家は空き家を生み、結果的に地価が下がり、資産が死んでしまう可能性があります。

4.防犯、防災上の不安

空き家である家の中に、家財道具、寝具などがあると、不審者が侵入し住み着く場合があります。

それ以上に恐ろしいのは、犯罪の場所として使われてしまうことです。

ガラスなどを割れた状態で放置すると、そのすさんだ外観が粗大ごみ等の不法投棄を招きやすくなります。

さらには、大型台風などの災害が発生した場合、倒壊して避難路をふさぐ可能性もあります。

また昭和56年以前に建てられた家の場合、旧耐震法で建てられていますので、地震などに弱く、運よくこれまで持っていたとしても、今後の地震などの際に倒壊の恐れがあります。

5.行政による指導

平成27年5月から「空家等対策の推進に関する特別措置法」が完全施行されました。

この法律では、保安上危険な家屋や衛生上有害な家屋に対して、行政の立入調査が実施され、建物の除却・修繕、立木の伐採等の措置の助言や指導、勧告ができる旨規定されています。

行政の指導に従わない場合には、強制的に空き家を取り壊され、空き家所有者はその取り壊し費用を負担しなければなりません。

空き家予防策
1.遺言書作成

空き家の所有者が亡くなったあと、相続人間での遺産分割の話し合いが上手くいかずに空き家が放置されてしまうことを未然に防ぐため、生前に遺言書を作成しておく方法があります。

遺言書では、所有者自身が亡くなったあとに建物を相続させる人を指定したり、死後に不動産を売却してその売却代金を相続人で分けるように指示したりすることができます。

遺言作成はこちら
ご自身が書いた遺言書を保管してもらえます
2.民事信託

空き家の所有者が認知症になった場合の対策も含め、一つの方法として民事信託を利用する方法があります。

不動産などの財産の管理・処分は、基本的に所有者の意思がなければできませんので、100年時代の今、認知症になった後の人生も考えなくてはなりません。

そこで、民事信託を利用して、自分の財産の管理を信頼できる人に託します。

民事信託について詳しくはこちらへ
空き家を活用しよう

岡山県版空き家ガイドブック
もし自分が空き家を所有することになったとしたら、それを放置せずに活用する方法はないのでしょうか?

空き家問題がクローズアップされることで、各自治体でも空き家を増やさないためのさまざまな取組みが行われています。

1.空き家対策特別措置法

増え続ける空き家に対応するため、国が制定したのが「空き家対策特別措置法」です。この新しい法律にもとづいて、各自治体で空き家を減らすための取組みが行われ、現在では日本全国のほとんどの自治体でなんらかの空き家対策を行っているほどです。

地域によって、空き家をリフォームや、空き家を撤去する際に補助金が出る場合があります。

それぞれの自治体によって、種類は様々ですが、調べてみることでお得に空き家をリフォームにすることができる場合も。

2.空き家バンクの利用
空き家を活用する取り組みの中でもメジャーなのが「空き家バンク」です。

これは、空き家を所有している人と空き家を利用したい人をマッチングさせるサービス。自治体が運営しており、登録料や利用料も無料なのが一般的です。

また、リフォームが必要な場合は、その費用を補助する制度を設けている自治体も多くあります。

3.空き家管理サービスの利用
空き家は、管理する人が不在で長期間放置されることが問題。そこで低料金で管理を任せられるのが、NPO空家・空地管理センターの「100円管理」。

月額100円という破格の金額で、月に1度、空き家を巡回してくれる良心的なサービスです。

同センターでは、さらに細かく管理をお願いしたい方のためのプランもありますし、その他民間の管理業者を利用するという選択肢を選んでもいいでしょう。

4.空き家の売却
空き家を所有しても、その建物や土地を使う予定がないのなら、売却するという方法もあります。

不動産の売却は不動産会社とのやりとりが生じて面倒と感じるかもしれませんが、一度売却してしまえば、固定資産税などの税金の支払い義務もなくなります。

また、買い手がつきづらい物件なら、空き家バンクを利用して売却することもできます。

売却価格は低くなってしまいますが、そのまま空き家を放置していると生じる税金の支払いのような煩わしさから解放されることができます。

岡山県空き家関連情報(岡山県公式HP)
誰にでも当事者になり得る「空き家問題」

空き家をお持ちの方、対策を考えている方、お気軽にお問い合わせください。

「遺言信託」と「遺言代用信託」について

民事信託(家族信託)の中級編です。

同じと思われがちな「遺言信託」と「遺言代用信託」について、違いをご説明します。

遺言代用信託とは?
「遺言代用信託」とは、民事信託(家族信託)の一つです。

信託契約を締結し、財産管理を任された人(受託者)が行います。

そして、任せた人(委託者)が死亡した際には、指定された人へ信託財産を引き継ぐ仕組みの信託のことです。

指定された人が最終的に財産を引き継ぐので、認知症対策をしつつ遺言と同様の効果をもたらします。

また、一般的な相続において、遺産分割協議などの話し合いや手続きが完了するまでは、使用用途が生活費や葬儀費用などであっても、口座凍結によりお金の引き出しができません。

しかし遺言代用信託であれば、契約時から固有財産から引き離され「信託財産」になるので、遺産分割協議など必要はありません。

いつでも受託者が引き出し可能になります。

遺言の場合に生じてしまう執行までのタイムロスが発生しないメリットは大きいと言えます。

遺言信託とは?
まず、「遺言信託」にはさらに2種類あります。

1つ目は、信託ではありません。

「遺言信託」は銀行等が扱う商品のことです。

遺言の作成のアドバイス
遺言の保管
遺言の執行(本人の死亡後に相続手続きを進めること
これらをパックとしてまとめて行うのが「遺言信託」であり、通常の遺言と何ら違いはありません。

簡単に言えば、銀行等が遺言の作成から執行までを手伝いますよ、という商品の名前が「遺言信託」ということです。

銀行がつけた商品名に過ぎず、法律上の「信託」とは全く関係ありません。

2つ目は、民事信託(家族信託)の一つです。

信託する内容を遺言で定めておく方法です。

「遺言による信託」とも呼ばれます。

遺言者が亡くなったときに、信託の効力が発生します。

ですので、「遺言代用信託」と違い、認知症対策としては使えません。

どのような場合に使うのかというと・・・

財産の持っている人自身の認知症対策は不要であるが、財産を相続する人が財産を管理できないようなときに成年後見人をつけなくても財産管理ができるようにしたいときなどに使えます。

例えば、財産を持っている人がいて、その人の家族構成が妻と子ども二人であったとします。

財産を持っているご本人は、財産を妻に相続させたいと思っていたとして、このとき既に妻が認知症だったとします。

ご本人が遺言書で妻に全財産を相続させるとしても、いざ、相続が開始した瞬間に、妻は認知症で財産管理ができませんから財産は凍結されてしまいます。

妻に成年後見人をつけてあげないと、相続財産を管理・処分できないということになります。

そこで、ご本人が生前に遺言書に信託のことも記載しておくわけです。

相続が発生したら、受託者を長男として財産を託し、受託者・長男は受益者・妻のために財産を管理・処分して、妻の生活費などを給付するという様な内容の遺言書を作っておくのです。

そうすれば、相続が開始したら、財産は長男が管理して、認知症の妻に必要な費用を給付することができます。

認知症対策が必要ないということであれば遺言による信託という選択肢もあるということです。