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相続時の登記を義務化

今は相続が発生しても義務ではない「相続登記」。

申請していなくとも罰則はありません。

そのため土地の価値が低いわりに、手続きが面倒で費用もかかるため放置しているケースは多いです。

しかし、現状、死亡者の名義のまま放置して、当初は把握していた相続人の裾がひろがり、本来の名義人であるべき人が把握しきれなくなり困っている人が多くいます。

また、放置されて誰のものかわからなくなった空き家や荒れ地は処分ができず、周辺地の地価が下がったり景観が悪化する問題も発生しています。

法務省によると所有者不明土地が発生する理由の66%は相続登記がないことで、34%が住所変更の不備とのことです。

このような、空き家問題が現在深刻化しています。実家等の空き家のリスクについて

そんな所有者不明土地(空き家)問題の解決・予防のため政府による新たな動きがありました。

政府の動き 2021.2.10

詳細はこちらへ

一法制審議会(法相の諮問機関)は2021年2月10日、相続や住所・氏名を変更した時に土地の登記を義務付ける法改正案を答申しました。

「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案」

政府は3月に改正案を閣議決定し、今国会で成立させ、2023年度にも施行する見込みです。

背景には、所有者に連絡がつかない所有者不明土地は全体の2割程度に達し、「公共用地として買収ができない」「災害対策工事が進められない」など土地の有効活用の弊害になっていることがあげられます。

改正のポイント

  • 相続登記の義務化と罰則の制定
  • 氏名又は名称及び住所の変更登記の義務化と罰則の制定
  • 法務局による所有者情報取得の仕組みの制定
  • 所有者不明土地・建物の活用

相続登記の義務化と罰則の制定

【以下 法務省より抜粋】

(1) 所有権の登記名義人が死亡した場合における登記の申請の義務付け

不動産の所有権の登記名義人が死亡し、相続等による所有権の移転が生じた場 合における公法上の登記申請義務について、次のような規律を設けるものとする。

① 不動産の所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続 により当該不動産の所有権を取得した者は、自己のために相続の開始 があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以 内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人 に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。

②前記①前段の規定による登記(民法第900条及び第901条の規定により 算定した相続分に応じてされたものに限る。後記(3)④において同じ。)がされ た後に遺産の分割があったときは、当該遺産の分割によって当該相続分を超え て所有権を取得した者は、当該遺産の分割の日から3年以内に、所有権の移転 の登記を申請しなければならない(注4)。

③ 前記①及び②の規定は、代位者その他の者の申請又は嘱託により、当該各規定 による登記がされた場合には、適用しない。

【要約】

相続人が相続・遺贈で不動産取得を知ってから「3年以内」に登記申請することが義務になります。

違反者は10万円以下の過料の対象とします。

相続開始から3年以内に遺産分割協議がまとまらずに相続登記ができない場合は、法定相続分による相続登記をするか、自分が相続人であることを期間内に申請すれば過料は免れます。

ただし、法定相続分による相続登記や相続人申告登記をした後、分割協議がまとまって自らが不動産取得した場合は、それから「3年以内」に登記しなければ過料です。

氏名又は名称及び住所の変更登記の義務化と罰則の制定

【以下 法務省より抜粋】

第2 所有権の登記名義人の氏名又は名称及び住所の情報の更新を図るための仕組み 1 氏名又は名称及び住所の変更の登記の申請の義務付け 氏名又は名称及び住所の変更の登記の申請に関し、次のような規律を設けるものと する。

① 所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったときは、 当該所有権の登記名義人は、その変更があった日から2年以内に、氏名若しくは 名称又は住所についての変更の登記を申請しなければならない。

② 前記①の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請 を怠ったときは、5万円以下の過料に処する

【要約】

所有者である個人や法人の氏名又は名称及び住所の変更があった場合は、その日から「2年以内」の変更登記申請を義務化します。

違反者は5万円以下の過料対象です。

法務局による所有者情報取得の仕組みの制定

法務局(登記官)が、住民基本台帳ネットワークシステム又は商業・法人登記システムから所有者の氏名又は名称及び住所の変更情報を取得し、職権で変更登記をすることができる仕組みを作ります。ただし、所有者が個人であるときは、本人への意向確認後行政が登記変更可能となります。

 そして、この仕組みを可能とするため、今後新たに個人が不動産登記をする場合は、生年月日等の情報を法務局に提供することが義務化されます。ただし、生年月日が登記簿に記載されることはありません。法人の場合は、商業・法人登記システム上の会社法人番号等が登記簿に記載されるようになります。

また、国外に住所のある所有者に対しては、国内の連絡先となる者(第三者を含む)の氏名又は名称及び住所等の申告が義務化され、それらの情報が登記簿に記載されます。

所有者不明の土地・建物の活用

相続等により土地を取得した者が、その所有権を放棄して土地を国庫へ帰属させることが可能となる制度を新設します。

空き家の原因である、田舎の実家の放置を防ぐ手段の一つといえます。

対象となるのは、いくつかのの条件を全て満たした土地に限られます。

  • 建物がない
  • 担保権等がない
  • 土壌汚染がない
  • 境界について争いがない
  • 管理又は処分にあたって過分の費用又は労力を要する土地でない

申請時の手数料と、国が10年間管理するのに必要となる標準的な費用(200㎡の宅地で80万円程度が目安)を申請者が納付しなければなりません。

公告を経て他の共有者で管理や変更ができる

土地やビルなどの建物の共有者が不明でも改修や売却をしやすくするため、裁判所の確認を経て公告し、他の共有者の同意で利用目的を変更できる制度です。

補修や短期の賃貸借を共有者の過半数で決定可能へ

短期間の賃貸借は共有者の過半数で決めることが可能に。

裁判所の許可で管理人を選べば売却できる

裁判所が管理人を選べば、不明の所有者に代わって土地や建物の売却もできるというもの。

代金は所有者が判明した場合に備えて供託します。

商業地などでは共有者が分からず、有効利用ができない不動産も多いため、制度が広がれば都市開発が進む可能性があるといえるでしょう。

以上の改正案は不動産登記法に関するものですが、関連する民法も同時に改正される見込みです。

「相続開始から10年間遺産分割がまとまらなければ法定相続とする」など。

法改正により、罰金になる前に一度事前に登記を確認してみることをおすすめします。

相続した不動産は大丈夫ですか?

相続、登記名義の現状について、吉井財務へお気軽にご相談ください。